イラストを依頼するとき、伝え方ひとつで仕上がりややり取りのスムーズさが大きく変わります。ここでは、相手に伝わりやすい書き方や事前に決めておきたいこと、用途別の例文、マナーやトラブル対応まで、すぐ使えるポイントを分かりやすくまとめます。初めての方でも安心して依頼できるよう、具体的な項目ごとに説明していきます。
イラスト依頼の例文で伝わりやすい書き方
イラスト依頼の文章は、相手が読みやすく判断しやすい構成にすることが大切です。要点を絞り、優先度の高い情報から伝えましょう。丁寧な挨拶と簡潔な要件提示で好印象を与えられます。
まず、誰が何を求めているのかを冒頭で示します。続けて用途・サイズ・納期・予算・参考イメージ・権利関係を順に記載すると、制作者が判断しやすくなります。箇条書きで整理すると相手が読み返しやすく、見落としを防げます。
依頼文は長くなりすぎないようにしましょう。必要な情報だけを明確に示し、細かい修正や要望はラフ確認の段階で詰める旨を伝えると、双方の負担が軽くなります。最後に連絡先と返信期限を添えるとやり取りがスムーズになります。
まず書くべき項目を絞る
依頼文で必須の項目を絞ると、相手にとって親切で判断しやすくなります。必須は「依頼主」「用途」「サイズ」「納期」「予算」「イメージ」の6つです。これらが揃っていれば、まず見積もりや受注可否の判断がつきます。
用途は「Webアイコン」「同人誌表紙」「企業パンフレット」など具体的に記載します。サイズや解像度、ファイル形式は後工程で差し戻しを減らすために早めに示しましょう。予算は幅を持たせて提示すると応相談の余地が生まれます。
イメージは言葉で伝えるのが難しい場合、参考画像を複数添付すると良いです。色味、表情、ポーズ、背景の有無など、優先順位を明記すると制作側が迷わず進められます。あまり多くの要望を一度に詰め込みすぎないことも大切です。
件名で用件を明確にする
件名は相手が開封するかどうかを左右する第一印象です。短く要点をまとめ、依頼であることと期限を示すと伝わりやすくなります。例:「イラスト依頼(商用)/A4表紙・納期4/30/予算5万円」などです。
件名に用途と納期が入っていると、忙しい制作者でも優先順位を即座に判断できます。複数案件を同時に送るときは、それぞれ件名を分けて送るか、本文で明確に区切ってください。件名だけで判断できない場合は本文冒頭で簡単な要約を付けましょう。
相手が依頼を受けやすくなる表現として、「見積もり希望」「ラフ確認後の調整可」などの一言を加えるのも効果的です。件名は長くなりすぎない範囲で要点を伝えることを心がけてください。
予算と納期は率直に示す
予算と納期は最初から明示すると、無駄なやり取りを減らせます。予算は下限と上限を示すか、目安を提示すると交渉がしやすくなります。納期は「最終納品日」を基準に伝えましょう。
納期にはラフや中間確認の時間も考慮して余裕を持たせてください。急ぎの場合はその旨を強調し、追加料金の可能性についても触れておくと相手が判断しやすくなります。期限に柔軟性がある場合は「多少の前後可」など一言添えると親切です。
支払い条件(前払い・分割・納品後)も明確に記載します。これにより双方の期待値が揃い、不必要なトラブルを避けられます。
参考画像とイメージを添える
言葉だけでは伝わりにくいイメージは、必ず参考画像で補いましょう。複数枚あると理解が深まり、色・構図・表情のイメージ共有がしやすくなります。参考にしたい作家のURLも効果的です。
画像を添付する際は出典を明示し、商用利用不可の画像は避けてください。好みの部分(色味・線の太さ・雰囲気)を箇条書きで示すと制作者がどこを重視すべきか分かります。逆に「任せます」と伝えると創作の自由度が上がります。
イメージ共有の方法として、簡単なラフを自分で描くか、キャプション付きで複数の写真を列挙するのもおすすめです。これだけで完成度がぐっと高まります。
利用範囲と権利を最初に伝える
作品の使用範囲や著作権の扱いは早めに確認しておきましょう。商用利用の有無、二次配布の可否、クレジット表記の要否を明確に伝えると後のトラブルを防げます。必要なら契約書や利用規約を交わす旨も書いておくと安心です。
権利の範囲によって料金が変わることが多いので、用途に応じてどの程度の権利が必要かを示してください。公開範囲(国内限定・全世界・SNSのみ)や改変の可否も具体的に伝えると、双方の理解が一致します。
最後に、納品後の保管期間やデータ消去に関する希望があれば、それも合わせて記載すると良いでしょう。
依頼前に決めておきたいこと
依頼前に要点を整理しておくと、やり取りがスムーズになります。準備が整っていると相手も安心して作業に入れますし、修正回数や追加費用の発生も減らせます。
まずは使用用途や掲載場所、希望するタッチやサイズ、予算と納期の範囲を固めましょう。利用範囲や権利関係、支払い方法も事前に検討しておくと安心です。これらを箇条書きでまとめておくのがおすすめです。
イラストの使い道と掲載場所をはっきりさせる
どこでどう使うかは料金や権利に影響します。WebやSNS、書籍、グッズなど使用範囲を具体的に示すと良いでしょう。掲載場所が決まっているとサイズやトリミングの要望も出しやすくなります。
複数媒体での使用を予定している場合は、それぞれについて範囲を示してください。例として「Webバナー用(横長)・A4印刷用(高解像度)」といった具合です。用途ごとに優先すべきポイントを伝えると制作側も適切なファイルを用意できます。
掲載先のブランドガイドラインや配色ルールがある場合は共有しましょう。事前に伝えることで再作業を避けられます。
望むタッチや参考例を集める
雰囲気やタッチは言葉で伝えにくいので、参考画像を集めましょう。選ぶ際は「好きな点」をメモしておくと役立ちます。色味、線の細さ、光の表現など優先度を添えると制作側に意図が伝わります。
参考例は3〜5点が目安です。あまり多すぎると迷いが生まれるため、核になるイメージを絞ると良いです。もし任せたい部分があれば「背景はおまかせ」など一言添えると制作側の自由度が増します。
画像サイズとファイル形式を決める
用途に合わせてサイズと解像度、ファイル形式を決めておきましょう。Web用は72dpi、印刷用は300dpiなど目的に応じた指定が必要です。最終の縦横ピクセル数やトリミング位置も明示すると手戻りを減らせます。
納品形式はPNG、JPEG、PSD、AIなど要望により異なります。レイヤーが必要な場合はその旨を伝えましょう。透過PNGやRGB/CMYK指定も用途に合わせて確認してください。
予算と支払いタイミングを決める
予算は早めに決めて伝えましょう。案件の規模に応じて見積もりを出してもらいやすくなります。支払い方法(銀行振込、PayPal、クラウドワークス等)とタイミング(前払い、分割、納品後)も決めておくと安心です。
追加の修正や仕様変更が生じた場合の料金ルールもあらかじめ相談しておくとトラブルが少なくなります。領収書が必要な場合はその旨も伝えてください。
希望納期と修正回数の目安を決める
納期は余裕を持って設定しましょう。ラフ確認や修正にかかる時間を見積もりに入れてください。修正回数の上限を決めておくと双方の負担が軽くなります。
修正の範囲(色替え・構図変更・部分修正など)を明確にしておくと、何が無償で対応されるか分かりやすくなります。急ぎの案件は追加料金が発生する可能性があるため、その点も確認しておきましょう。
二次利用や公開の可否を確認する
将来的にグッズ化や別媒体での使用を考えている場合は、最初にその旨を伝えて合意を取っておきましょう。制作者によっては二次利用や改変を禁止することもあります。
公開時のクレジット表記の有無や、ポートフォリオ掲載の許可も確認しておくと後で行き違いが生じにくくなります。
用途別に使える例文集
ここでは用途に合わせた例文を用意しました。状況に応じて言い回しを調整して使ってください。読みやすさを重視して要点を押さえた構成にしています。
例文は相手に伝わりやすい順序で書かれており、用途・サイズ・納期・予算・参考画像・権利関係が含まれています。文末に返信期限や連絡先を記載するのを忘れないでください。
初めて依頼する時の丁寧な例文
はじめまして。◯◯と申します。今回はWebサイトのバナー用イラストをお願いしたくご連絡しました。用途はサイトトップの横長バナーで、サイズは1200×300px、解像度72dpiを想定しています。
納期は4月末までに最終納品を希望していますが、ラフ確認や修正に時間をいただければ調整可能です。予算は〇〇円を考えています。参考画像を3点添付しますので、雰囲気や色味を中心にご確認ください。
商用利用とSNSでの公開を予定しており、クレジット表記は可能です。お手数ですが見積もりとご対応可能かどうか、返信をいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
継続依頼や追加発注の例文
いつもお世話になっております。前回のイラストに続き、同タッチでシリーズ5点を追加で依頼したくご連絡しました。各点はWeb記事のサムネ用で、比率は1:1、サイズは1200×1200pxを想定しています。
前回のテイストを踏襲しつつ、表情と背景を軽く変えていただければ大丈夫です。納期は2週間ごとに1点のペースでお願いしたく、予算は1点あたり〇〇円を想定しています。修正は各点2回までで調整できればと思います。
ご都合や追加費用がある場合は教えてください。引き続きよろしくお願いいたします。
予算を明示する時の例文
お世話になります。イラスト制作をお願いしたくご連絡しました。用途は同人誌表紙で、A4縦・300dpiでの納品を希望しています。参考画像を添付します。
予算は5万円前後を考えており、これに含まれるのはラフ確認1回、清書、PNG・PSD納品までです。追加修正や複雑な背景は別料金でお願いできればと思います。
ご対応可否と概算の納期を教えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
急ぎで納期を相談する時の例文
お世話になります。急ぎでイラストを依頼したくご連絡しました。用途はイベント用フライヤーのメインビジュアルで、納期は1週間後の最終納品を希望しています。
サイズはA4・300dpi、ラフ確認は2日以内、最終納品は7日以内を目安にしています。急ぎのため追加料金が発生するのは承知しています。見積もりと対応可能かどうかをお知らせください。どうぞよろしくお願いいたします。
SNSで気軽に頼む時の例文
こんにちは。〇〇と申します。SNS投稿用のちょっとしたイラストをお願いしたくメッセージしました。用途はTwitterの投稿(1200×675px)で、明るい色合いのアイコン風イラストを希望します。
納期は1週間程度、予算は3000〜5000円で考えています。ラフを見せていただいてから最終決定で大丈夫です。気軽に相談いただければ嬉しいです。よろしくお願いします。
やり取りのマナーとトラブル対応
イラスト制作はコミュニケーションが命です。礼儀正しいやり取りと明確な合意が、良い作品や信頼関係につながります。相手の時間を尊重し、感謝の気持ちを伝えることを忘れないでください。
返信は可能な範囲で早めに行い、確認事項は箇条書きで整理して伝えましょう。修正依頼は具体的に示し、優先順位を付けると相手が対応しやすくなります。万一トラブルが起きた場合は冷静に事実をまとめてから連絡を取り、第三者の仲介を検討する方法もあります。
名乗り方と挨拶で信頼を作る
最初の挨拶で名乗り方や所属、簡単な経緯を伝えると安心感が生まれます。「はじめまして、◯◯(会社名/ハンドルネーム)です。今回の依頼は〜」といった形式が好まれます。礼儀正しい言葉遣いと感謝の一言も忘れないでください。
自己紹介が短くても目的が明確なら十分です。過去の実績や参考リンクを提示すると相手の判断材料になりますが、必要以上に長く書かないようにしましょう。
件名と本文は簡潔にまとめる
依頼メールは簡潔さが重要です。件名で要点を伝え、本文では箇条書きで必要事項を示しましょう。長文になる場合は見出しや段落で区切り、読みやすくしてください。
相手が忙しい場合を想定して、優先事項と追って相談したい事項を分けておくと丁寧です。返信期日を明示することでやり取りがスムーズになります。
ラフ確認から修正の伝え方
ラフ確認時は、良い点と改善したい点を分けて伝えると建設的です。「ここは良い」「ここをもう少しこうしてほしい」といった具体的な指示があると修正が早く進みます。修正は箇条書きで優先順位を付けると効果的です。
修正依頼は一度にまとめて出すか、段階的に出すかを事前に相談しておくと混乱を防げます。口頭でのやり取りより書面(メッセージ)の方が記録になり安心です。
支払い方法と領収書の扱い方
支払い方法は事前に合意しておきましょう。銀行振込、オンライン決済、プラットフォーム経由など、双方が利用しやすい方法を選んでください。領収書や請求書が必要な場合は依頼時に伝えます。
支払いタイミングは前払い・分割・納品後など様々です。大きな金額の場合は前金をお願いする制作者も多いので、合意事項を明確にしておくと安心です。
連絡が途絶えた時の対応
相手から返事が来ない場合は、まず丁寧にリマインドを送りましょう。一定期間(例:3〜7日)返答がない場合は、代替案を考えたり別の制作者に依頼することも検討してください。
途中で連絡が途絶えた場合は、契約や合意した支払い条件に則って対応を進めます。トラブルが深刻な場合はプラットフォーム運営や第三者機関に相談する手もあります。
すぐ使えるイラスト依頼の例文まとめ
最後に、この記事で触れたポイントを短くまとめます。依頼時はまず用途やサイズ、納期、予算、参考イメージ、権利範囲を伝え、件名と本文は簡潔にまとめましょう。ラフ確認と修正の流れや支払い方法も事前に合意しておくと安心です。
やり取りは丁寧で明確に行い、相手の時間を尊重する姿勢を大切にしてください。これでスムーズな依頼ができるはずです。ぜひこの記事を参考に、気持ちの良いやり取りで素敵なイラストを手に入れてください。
